●認知行動療法 ~ 知ること・認めること ~

心理療法

認知療法は1950年代にアメリカでつくられた療法で、その効果の高さから、やがて世界中に広がりました。

アーロン・ベック(精神科医)
アルバート・エリス(心理学者)
ドナルド・マイケンバウム(心理学者)
彼等がそれぞれに始めた心理療法を、後に総称して認知療法と呼びます。

彼等に共通していたのは「何かの出来事自体が感情や身体の反応を直接引き起こすのではなく、そうした出来事を本人がどんなふうに認知するかによって、身体反応や感情、行動が異なってくる」という考えでした。

人間という生き物は、すべての人間が全く同じ価値観を持っているわけでなく、それぞれの個人が自分自身の価値観や考えを持っています。

現実に起こる出来事を、それぞれの方が自分の価値観というフィルターを通して受け取っている。
それはとても自然で、当たり前のことです。

そんな人間にとって、「原因が分らない」「正体が分らない」「何が起こっているかわからない」というのは、意外にも、私たち自身が想像するよりも大きな心のストレスを生みます。
場合によっては、「自分に何が起こっているのか分からないストレス」が、症状や状態を加速させていることもあります。

視点を変えて考えると、この価値観というフィルター次第で、ものごとの受け取り方、感じ方が変化するということなのです。

クライアントは心理カウンセラーとのコミュニケーションから、これまでとは異なる視点や考え方に気づいていきます。
今までと違った視点からものごとを観ることができるようになる(これを客観視と呼びます)と、クライアントは、今まで自分に何が起こっていたのか、自分が何を感じているのか、どんな価値観を持っているのかを自覚できるようになります。

そして、自分自身への理解や確信を深め、様々な自分の情報を知ることで、これまでの状況の整理や現状の確認ができるようになるのです。

これまでには無かった視点や価値観を得ることで、今までの出来事の受け取り方や感じ方を変えることができる。

また、これから先に起こる出来事についても、これまでとは違う受け取り方、感じ方ができるようになる。

そして、気づいたことを行動に反映させ、現実に起こる出来事の変化を感じてゆく。

それが、認知行動療法の良いところです。
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