ゲシュタルト療法 ~ 過去・未来から今視点へ ~

心理療法

ユダヤ人の精神科医フレデリック・バールズによって1950年代につくられた心理療法です。
この療法の面白いところは、フレデリック・バールズが、東洋思想である瞑想や精神統一の体験をもとにつくったということ。
特徴的なのが「今、このとき」に焦点をあてるというところです。

ひとには、必ず過去があります。

生まれてから今この瞬間までの間、経験して過ぎ去っていった過去。
その過去の中で、出会い、触れ合い、そして別れたこともあるでしょう。
物理的に。そして、命そのものとして。
また、これまでに得た知識もあるでしょう。
ひとによっては、過去に得た体験や言葉、知識がこころに傷をうみ、それが今も解決できない苦しみや心のトラブルを生み出していることがあるかもしれません。

そして、ひとには未来もあります。

これからも生きていくのだから。
身体は鼓動を打って体温を持ち、こころは感じ続けていく。
ひとが生きていくとき、未来は必ずある。
これから何が起こるか分からない不安。
想像している通りになってしまうのではないかという恐怖。
時には未来への不安や恐怖が、悩みや苦しみを生み出すことがあるかもしれません。

けれど、ひとが生きているのは「今」なんです。

過去は過ぎ去り、起こった出来事を変えることができない。
未来はまだ来ず、何が起こるか知ることはできない。
でも、「今」を変えることはできる。

いま何を感じ、いま何が起こっていて、いま何をしているか。
「今」という瞬間のことは、リアルタイムに実感できる。
既に起こった過去を、今、どう受け止めたいのか。
これからやってくる未来のために、今、何をしたいのか。
ゲシュタルト療法では、そこに焦点を当てます。

最後に、フレデリック氏がよく言っていたという詩をご紹介します。
この詩から、あなたはどんなことを感じますか?

 私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる。

 私はあなたの期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。

 そしてあなたも、私の期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。

 もしも縁があって、私たちが出会えたのならそれは素晴らしいこと。

 出会えなくても、それもまた素晴らしいこと。

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